とうあんだより

― 器のはなし ―

京都の伝統工芸品である京焼・清水焼の特色はさまざまな種類の焼き物をやいていることです。

陶葊でも独自の鮮やかな色絵付けの作品のほかにも、染付・天目・青磁などのさまざまな器を手がけております。とうあんだよりでは、そのさまざまな作品をお紹介いたします。

器を通して、美しい絵付け、職人の手仕事はもちろんのこと、店頭で見ることのできなかった器や、その器にまつわるエピソードと一緒に是非お楽しみいただければと思います。

7月の器

清涼感のある器
7月の器 画像1

■ 銘:とじ鉢

■ 種類:中鉢 (磁器)

■ 絵付:向日葵・茄子・紫陽花

■ サイズ:高80mm / 径140mm

■ 価格:参考商品

 

7月の器 画像2
絵付けの魅力

今回の絵付けは「向日葵」「茄子」「紫陽花」の3種。

夏らしい清涼感のある白い磁器のうつわに、鮮やかな絵付けが施されています。

 

とうあんの器の絵付けといえば、縁や底から描かれていることが多いのですが、今回は中央に独立した状態で描かれており、まとまりのある象徴的な印象を受けます。

 

「円の画面中で葉や茎を曲線でまとめる」といったアレンジは、伊藤若冲の花卉図天井絵から影響を受けたもの。

アールヌーボーを思わせるセンスが光ります。

 

7月の器 画像3
天目型を元に

ふたつの器を比較してみて下さい。

何だか似ていると思われませんか?

 

左の器は「天目茶碗」と呼ばれるものです。

この天目型には、口縁の部分に内側に絞った凹みが見られます。

これは“スッポン口”と呼ばれるもので、すっぽんの頭に似ていることからこの名が付き、熱い飲み物を少しずつ口に入れるための工夫から生まれた形だと言われています。

 

7月の器「とじ鉢」は、この器の形を元に生み出されました。

 

7月の器 画像4
縁のつぎ目

器の縁をご覧下さい。

なんとも個性的な形をしています。

 

成形時に、縁に切り込みを入れ、重ね合わせることで、器にこのような魅力的なアクセントを加えることができます。

些細な箇所にも、職人ならではの手仕事が見られます。

 

その制作行為より、とうあんでの通称は「とじ」と呼ばれています。

 

7月の器 画像5
高台と碁笥底

上記で、今月の器は天目型を元に生まれたものだと述べましたが、とじの部分以外に異なっている箇所がもうひとつあります。

 

それは、底の部分です。

天目の方は高台が付いているのに対して、とじ鉢の方には見られません。ですが、平底になっている訳ではなく、底の部分を直接削り込んで上げ底にしてあるのです。

 

このような底を、碁石を入れる容器(碁笥)に似ていることから、碁笥底(ごけぞこ)と呼ばれています。

 

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